青山教室NEWS

晴耕雨読

月にいったい何冊の本を買うんですか?
月間でどれくらいの書籍代がかかっているんですか?
それだけ買って、全部読んでいるんで…
あっ、そんな時間はないですよねwww

これ、先日、ある塾生との間で交わされた会話。
その質問を聞きながら、私はある出来事を思い出していました。

大学院生時代、研究室のある先輩が、修士課程を修了し社会人となったのちも、
年に数回、研究室を訪れては、新しく買ったいろんな本の紹介をしてくれていたのです。
ハードカバーの学術書や新書はもちろんのこと、
名前は知っているし図書館では見かけるけれど、絶版になって久しく、
なかなか手に入れることができない希少本…や
さらには海外から取り寄せた本まで…。
その先輩からは、刊行されていて手に入る本は必要な本であれば必ず、
希少な本は運よく出会えたときには少し無理はしてでも買っておくべき…
との薫陶を受けました。

先輩はそれらの本を、実家の蔵を改造して作った書庫に収蔵してらっしゃったと記憶しておりますが、
奨学金や大学からの給付金、授業料免除など、あれこれ手を尽くし、
四苦八苦しながら通っている貧乏学生には、眩しい存在でありました。
社会人とは角も豊かなものなのか…と。
あの人は特別だ…。
財政不如意なる現状を、あの頃の自分に教えてあげたい気分です。

それはさておき、あるとき、その先輩に意を決してしたのが、
月にどれくらい書籍代を…という先の塾生と同じ質問。
答えてはもらえませんでしたけど…。
ていうか、私もお茶を濁して答えませんでしたけど。
少し先輩に近づけたような気がして、嬉しい気持ちになりました。

あとはこの本たちをゆっくり読んで、思索にふける時間が取れればなあ。
私の中1の時の将来の夢は「晴耕雨読」の生活を送ること。
今は「晴読雨読」でもいいなぁと思っているところ。
年金生活で悠々自適ができるなら、それも可能でしょうが、
少子高齢化のこの時代、死ぬまで働かなきゃダメなんだろうなぁ。